くちびるやその周囲に小さな水ぶくれができる病気”口唇ヘルペス”は、単純ヘルペスウィルスが原因で起こります。
単純ヘルペスウィルスは感染力が強く、直接的な接触のほかにウィルスがついたタオルやグラスなどを介しても感染します。
したがって親子、夫婦など親密な間柄で感染することが多く、俗に”愛のウィルス”といわれたりします。
このウィルスの特徴は最初に感染(初感染)して免疫を獲得して、その人に抗体ができても機会があれば再感染や再発を繰り返すということです。
大人にみられる口唇ヘルペスのほとんどが再発型で、年1~2回の再発が多いようです。
ウィルスは体内にひそんでいて
何らかのきっかけで再発
乳幼児期の単純ヘルペスウィルス1型の初感染はヘルペス性口内炎などで現れることもありますが、たいていは症状が出ません。
初感染の後、ウィルスは神経節にひそみ、何らかのきっかけで暴れだして口唇ヘルペスなどとして再発します。
初感染で口唇ヘルペスということがありますが、日常みられるのはほとんどが再発型です。
風邪で熱が出た後にみられる”風邪の華”(”熱の華”ともいう)が口唇ヘルペスです。
風邪以外にも疲労、紫外線、胃腸障害、外傷、 ストレス、老化、抗がん薬などの体の抵抗力や免疫機能の低下が再発の誘因となります。
他人との接触、自分自身の患部からも
感染する可能性があります
症状が出ている時期はウィルスを大量に排泄しています。
この時期に患者に接触した人で、単純ヘルペスウィルスの抗体を持っていない人や、持っていても抵抗力が落ちている人は感染する率が高くなります。感染した場合、接触した日から3~7日目に発症することが多く、具体例として、口唇ヘルペスの大人が乳幼児にキスすることによって発症する乳幼児ヘルペス性口内炎や口唇ヘルペスがあげられます。
これは自分自身の患部に触れて他の部位に感染する場合にも当てはまり、患部に指で触れた場合、きちんと手洗いをしなければ、数時間は感染する可能性があります。
なお、アトピー性皮膚炎の人では皮膚のバリアー機能が低下しているので、皮膚から感染してひどい症状がでるので注意すべきです。
無症状でもウィルス排泄の可能性が
ウィルスを持っていても症状が出ていない場合たいていウィルスは神経節にひそんでいるのですが、唾液や精液などにウィルスが排泄されていることもあり、この場合、無症状であることから自分の体液にウィルスが存在することに気づかず、キスやセックスでパートナーに口唇ヘルペス、性器ヘルペスを発症させることがあります。
特に、パートナーが抗体を持っていない場合には、重症化するので、気になる人は抗体の有無を検査するとよいでしょう。
口唇ヘルペスの症状って?
皮膚症状は2週間ほどで治ります。
初感染であるのか再発であるのか、体調のよし あしなどの要因で症状の程度は異なりますが、 口唇ヘルペスは基本的に次の4つの段階を経て 2週間ほどで治っていきます。
1)前駆期の症状・・・ピリピリ、チクチク、ムズムズする
2)はじめに現れる症状・・・赤くはれる
3)2~3日後に現れる症状・・・水ぶくれができる
4)回復期の症状・・・かさぶたができる